栗駒山の紅葉にハズレはないといわれています。はたしてそうなのか。ぼくは東北の秋を９８年、９９年、２０００年の３回経験しました。２０００年の東北はどこも最高の紅葉でした。栗駒山の紅葉は９９年と２０００年の２回見ました。確かに言われているとおりです。その美しさにため息が漏れ、身が震えるほどです。ただ９８年は見ていません。この年の東北の紅葉は悲惨でした。そんな年でも栗駒山の紅葉だけはよかったのかどうか。
　紅葉を眺めるには岩手県側の須川温泉コースがいいでしょう。ただしこの周辺はこの時期は観光客で込み合います。須川温泉はいい湯ですが､大きな湯船は芋の子を洗うような混雑で、洗い場が狭いのも不満です。
　須川温泉コースから栗駒山頂を目指し､帰路は自然観察路コースをとります。ラウンドになり須川温泉に戻ります。
　紅葉の見所は帰路の自然観察路コースを下って､須川コースと合流する手前あたりです。振り返り振り返り眺めてください。気が短い人は逆コースをとることです。
　”錦繍”の言葉を掛け値なしで実感することでしょう。あまりの見事さにこの世のものかと夢をみているようです。景色に奥行きがあります。紅葉のグラデーションの見本です。けっして大げさではありません。
　石川さゆりが「天城越え」で、女の情念をあの切羽詰ったエクスタシーの表情で「山が燃えるぅぅー」と歌うときに似た光景です。ちょっとたとえがミスマッチだったかも。