月山の紅葉は正直のところそれほど期待していませんでした。期待していないところに､ドカンときたものですからいっそう感動がすごいものになったのだと思います。
　月山は姥沢コースをとります。リフト乗り場付近のブナの紅葉だけでも十分堪能できます。さらに手っ取り早く月山スキー場のリフトを利用すれば簡単に紅葉を眺められます。
　が、ここではやはりリフトには乗らないで近くの姥沢小屋裏からブナの林を登ることにしましょう。ブナの紅葉をゆっくりと楽しみ､ブナから低い潅木に変わるころです。リフトで行けば終点近くの標高になります。
　月山が姿を現し､その山肌を頂上まで一気に赤や黄に染め上げていました。突然に飛び込んできましただけに目を丸くしました。色の鮮やかさがなんと印象的であったことか。
　期待がハズレたときのショックは大きいのですが、逆に反対もありうるのだと知りました。なにか得した気分になります。
　蛇足になりますが､月山の一等三角点は見落としがちです。神社の裏手の稜線上にありますので要注意です。やはり触ってみたいものです。頂上からは肘折温泉への長い道があります。一度歩きたかった道ですが実現できないままでいます。
　２０００年１０月の月山ではすばらしい経験をしました。ブナの森の中を風が吹き抜けたとたんにパラパラ、バラバラと音がして、上から何かが降ってきました。なんだろう、と驚いて立ち止まって見上げたところ、なにかが紅葉した葉にぶつかりながら落ちてきました。頭にも体にも当たります。それはブナの実だったのです。至福の時でした。
　「紅葉」をキーワードに話しを進めていますが、紅葉前線の南下スピードが速くなっています。駆け足で紹介していかないと､この情報も「十日の菊」となってしまいます。急がないと。