ミャンマーのほほ笑み パガン（１）

５、パガン 　日本語ガイド・トゥンさん 　２月９日､午前２時半にふとんに入り､午前４時に起床｡緊張しているせいか、すぐに飛び起きた｡ 　古川さんが迎えに来てくれていた｡彼は寝る時間があったのだろうか。 　古川さんの家に立ち寄り､衣類など道中要らないものをあづかってもらうことにした｡何から何までお世話くださり正直のところ肩身が狭い｡ 　ヤンゴンの空港へ。この早朝だというのに､やはり空港ビルは大混雑｡地方への便はこの時間帯に集中するのだという。外国人観光客、とくにフランス人の団体が多いようだ｡ 　日本語通訳ガイドのトゥンさんが待っていた｡ロンジーを腰に巻き､スタンドカラーの白いシャツを着ていた｡ＴUN WIN NAING（トゥン・ウィン・ナィン）。 　３２歳の男性で独身｡２０歳前に来日して､６年間を過ごした｡日本語学校に通いながら居酒屋でアルバイトして生活費を稼いだ。風貌は日本人と変わらない。浅黒いのもぼくと同じくらい。日本人だといわれても疑う人などいないだろう。 　古川さんによると、ミャンマーで日本語が一番うまいガイドだという｡日本人でも英語がうまい人はたくさんいる。ミャンマー人でも日本語がうまい人は数え切れないほどいるだろう｡通訳の資質は別にある｡一週間も付き合うのだから、最終的には人柄がものをいう。終始まじめに対応してくれた。 　ぼくが感心したのは、話しをしていて、間の取り方がきわめて自然だということである｡これには舌を巻いた｡ふだん日本にいて近くの人と話しているのと同じ感じで､まったく違和感がない。 　道中、さかんに、嫁さんはどうするの?　と質問されて照れていた。もちろん異性は一番の感心事だろう。 　それにおしゃれである。毎日、上着とロンジーを着替える。ときには民族衣装にも着替える。これだけの衣装持ちだから旅行バッグを持っているはずなのだが､ぼくは旅行中に彼のバッグをとうとう見る機会がなかった。ドラえもんと違うのだからバッグはあるはずなのだが…。 　ぼくたちのとってこの通訳のトゥンさんは、古川さんのほかにはミャンマー情報を得る唯一の人である。

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